おぐに黒大豆 天空の豆畑

農福連携レストラン 天空の豆畑はこちら

天空の畑で守り続けた
希望の大豆

九州一の大河、筑後川をさかのぼった
標高700mの天空の地に、
美しい小さな集落があります。
熊本県小国町の西里地区にある中尾集落です。
おぐに黒大豆は、
この美しい集落だけに受け継がれてきた在来大豆。
世界にひとつしかない、
とてもめずらしい奇跡の大豆です。
ひとりの女性が、家族の笑顔を見るために
守り続けてきた伝統野菜は、
小国町の障がい福祉サービス事業所に受け継がれ、
天空の豆畑でたくましく育っています。

九州一の大河筑後川
その源流に開かれた天空の豆畑
おぐに黒大豆のふるさとです

やがて九州一の大河、筑後川となる流れも、ここではまだひとすじの小川にすぎません。熊本県と大分県の県境にそびえる涌蓋山のふもと、標高700mの天空の地に、美しい小さな集落があります。熊本県小国町の西里地区にある中尾集落です。集落の北側の山の斜面には小国杉の美林が広がり、南向きの斜面に住宅と農地とが美しく配置されています。
平安時代に創建された熱田神社には、「熊本の名水100選」だけでなく、「九州の名水100選」にも指定されている豊かな温水が湧き出します。
おぐに黒大豆は、この美しく豊かな集落だけに受け継がれてきた在来大豆。
世界にひとつしかない、とてもめずらしい奇跡の大豆です。

女性たちが受け継いできた
世界でひとつの小さな粒
貴重な遺伝資源です

おぐに黒大豆を初めて見る人は、これがほんとうに大豆なのかと驚くかもしれません。大豆なのに小豆のように小さく、色は黒く、形は球というより扁平だからです。
おぐに黒大豆は、寒冷な天空の地で生きるために必要な強さを秘めています。秋に訪れる寒さや霜にもまけず、豆を実らせるたくましさがあります。他の大豆は花が咲き始めると新しい葉が出ないのに対して、花が咲いたあとも新しい葉をつけ、茎を伸ばし続ける、他の大豆にはない特性もあります。
中尾集落の女性たちは、夏に黒大豆の種をまき、秋に収穫し、冬になると熱田神社の温水に浸けてもやしをつくり、貴重な冬の生鮮野菜として食卓に乗せていました。

愛する人たちを
笑顔にするために
たったひとりで守り続けました

かつて中尾集落のすべての家庭では、一家のおかあさんたちがおぐに黒大豆を栽培し、冬になると黒大豆もやしをつくっていました。
新年を祝うお雑煮には、黒大豆もやしが欠かせません。おかあさんたちは、家族みんながまめまめしく元気に働けるように、長いもやしのように丈夫で長生きするようにという願いを込めて、お雑煮のお椀にもやしを添えていたのです。
けれども、おぐに黒大豆を育てる人はしだいに少なくなり、2010年には財津ミズ子さんひとりだけになりました。財津さんは栽培の労苦をいとわず、誰からの報いも求めず、ただ愛する人たちと分かち合うことだけを自らの喜びとし、黒大豆の栽培ともやしの生産を続けてきました。もし大豆の神様がいるとしたら、その無垢な魂と無償の愛ゆえに、この人を伝承者に選んだのかもしれません。

種をまきまた種をつくる
在来種を守るために
作物の一生に寄り添います

たったひとりの生産者になった財津ミズ子さんは、1年を通しておぐに黒大豆の一生に寄り添います。
田植えが一段落した7月下旬、夏の土用のころに畑に種をまきます。種は小さな芽を出すと、夏の日差しを浴びてぐんぐん生長し、8月中旬に紫色の小さな花をたくさんつけます。やがて花は緑色のさやになり、さやの中で豆をふくらませていきます。11月に豆が完熟してさやが枯れると、財津さんは根から引き抜いて収穫します。そして、数本ずつ稲わらでしばって乾燥させ、木の棒で叩いてさやから豆を取り出し「脱穀」します。
たくさんの豆のなかからすぐれた豆を見極めて、翌年にまく種を選びだす「選抜」も大切な仕事です。

私たちが受け継ぎます」
伝統を未来に伝えるため
栽培を継承しました

2016年、おぐに黒大豆は、「世界農業遺産阿蘇」の「伝えたい農業遺産資源」に登録されました。2年後の2018年には、茨城県にある農研機構遺伝資源センターの「農業生物資源ジーンバンク」で保全されるようになりました。
財津ミズ子さんが守り続けてきたおぐに黒大豆は、将来にわたって農業を続けていく作物多様性のために欠かせない、貴重な遺伝資源であることが評価されたのです。
そして、小国町の障がい福祉サービス事業所、社会福祉法人小国町社会福祉協議会サポートセンター悠愛が、おぐに黒大豆の継承を決断しました。消滅の危機にあった在来大豆が、未来に引き継がれることになったのです。

畑が広がる大豆が増える
守り続けるために商品化
天空の豆畑」名づけました

サポートセンター悠愛は、障がいをもつ人たちが地域社会のなかで自立して生きるというゆめをかなえるため、自ら大豆を育て、「小国のゆめ」という豆腐をつくり始めました。そして、「小国のゆめ」から味噌や納豆、シフォンケーキやプリンなど数多くの関連商品を生み出してきました。
その実績を生かして、財津ミズ子さんから受け継いだおぐに黒大豆を、「天空の豆畑」の名で販売することにしました。自家消費のために中尾集落だけで栽培されてきたおぐに黒大豆は、多くの人に食べてもらうことで守られる新しい道を歩み始めたのです。
おぐに黒大豆は、農業と福祉、障がい者と地域、伝統と未来をつないで、天空の豆畑で育っています。

あなたの笑顔が見たいから
農福連携レストラン
天空の豆畑をオープンしました

おぐに黒大豆の栽培面積は、1年ごとに広がっています。2020年には、おぐに黒大豆のふるさとである西里地区に、農福連携レストラン「天空の豆畑」がオープンしました。
レストランではおぐに黒大豆の料理やデザートを味わい、売店ではおぐに黒大豆ときなこを購入することができます。おぐに黒大豆は、障がいをもつ人たちが栽培、販売するだけでなく、レストランで料理をつくり、その料理でお客さまをもてなすさまざまな仕事を生み出したのです。
財津ミズ子さんが愛する人の笑顔を見るために黒大豆を守ってきたように、レストランでは障がいをもつ人ともたない人が、訪れる人の笑顔を見るためにいっしょに働いています。

ここでしか味わえない、おぐに黒大豆ソフトクリームも人気メニューのひとつです。

おぐに黒大豆ソフトクリーム
農福連携レストラン 天空の豆畑はこちら

おぐに黒大豆の商品

  • おぐに黒大豆 200g入り

    おぐに黒大豆 200g入り

    おぐに黒大豆は、遺伝子組み換えはもちろん、品種改良も行われていない在来の大豆です。農作業のほとんどを手作業で行い、収穫した黒大豆は自然乾燥し、粒の大きさをそろえ、1粒ずつていねいに布で拭いて袋詰めしています。

  • おぐに黒大豆きなこ 80g入り

    おぐに黒大豆きなこ 80g入り

    生産量の少ないおぐに黒大豆には、粒の大きな豆や小さな豆、ふぞろいな大豆も、すべてが貴重です。そんな黒大豆を生かすため、きなこをつくりました。風味豊かな黒大豆のきなこは、和洋を問わずご利用いただけます。

おぐに黒大豆のレシピ

豆は世界中で栽培され、料理やおやつに利用されています。
ここでは和食と洋食の一例を紹介しますが、どんな豆料理にもご利用いただけます。

  • おぐに黒大豆ごはん

    おぐに黒大豆ごはん

    小粒なおぐに黒大豆は、短い時間でやわらかくなるので、お米といっしょに水に浸けておくだけで、きれいなピンク色の、おいしい豆ごはんに仕上がります。

    • 材料(お茶碗4杯分)

    • 2合(300g)

    • おぐに黒大豆

      30〜50g

    • 450cc

    • 大さじ2(30cc)

    • 小さじ1(5g)

    1. 米をとぎ、ざるに上げて水気を切ってから、炊飯器に入れる。
    2. 水、酒、塩を加える。
    3. さっと洗い、水を切ったおぐに黒大豆を米の上にのせる。
    4. 数時間から一晩おいてから、炊飯器で炊く。
  • おぐに黒大豆バター

    おぐに黒大豆バター

    料理家の高山なおみさんが考案した「大豆バター」のレシピを、おぐに黒大豆でつくると、こくのある黒大豆バターに。パンのスプレッドにぴったりです。

    • 材料

    • ゆでたおぐに黒大豆

      100g

    • バター

      70g

    • きび砂糖

      50g

    • 2つまみ

    1. おぐに黒大豆を水で戻し、やわらくなるまで煮る。
    2. バターは室温に戻し、やわらかくしておく。
    3. フードプロセッサーに、水気を切ったおぐに黒大豆を入れ、粒がなくなるまで撹拌する。
    4. バター、きび砂糖、塩2つまみを加え、全体がなめらかになるまで撹拌する。
    • 空き瓶に移し入れ、冷蔵庫で保管します。食べるときは、早めに冷蔵庫から出していくと、パンに塗りやすくなります。
    • 高山なおみさんの大豆バターのレシピは、『料理=高山なおみ』(リトルモア・2014年)で紹介されています。

SHOP

おぐに黒大豆は、熊本県内の各店でお買い求めいただけます。

  • おぐに黒大豆 インスタグラム
  • おぐに黒大豆 YouTube

おぐに黒大豆 冊子イメージ画像

おぐに黒大豆のことを知っていただくために、小冊子を作成しました。熊本県小国町の天空の豆畑で受け継がれてきたおぐに黒大豆が、どのように栽培され、受け継がれてきたかを紹介しています。ぜひご一読ください。